出不精日記

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カテゴリ:宮部みゆきさまの本( 6 )

ソロモンの偽証 宮部みゆき作

12月25日の朝、城東第三中学の校庭で降り積もった雪に埋もれた2年A組の柏木卓也の遺体が、同級生の野田健一によって発見されました。


 


柏木卓也は、11月に中学の札付きのワル3人組と喧嘩をして以来不登校になっていたのです。


卓也の家族も警察も、卓也は24日の深夜に校舎の屋上から飛び降りて自殺したと考えていました 。


 


ところが中学で卓也はワルの3人組に殺されたという噂が広まります。


さらに「屋上から突き落とされるのを見た」という告発文が、津崎校長と柏木卓也の担任の森内先生、同じクラスの藤野涼子に送られました。


津崎校長は、生徒を面接して告発文を出した生徒をさがしますが、生徒をかばうために公表しないことにしました。


ところが一通、担任の森内先生に送られた告発文は郵便受けから抜き取られ、放送局に送られて報道番組で放送されて、3人組に殺されたという告発が一般に知られることになり、学校は大騒ぎになります。


 


柏木卓也は三人組を相手に椅子を振り回して喧嘩をしましたが、いじめられていたわけではありません。


なぜ不登校になり、学校の屋上から落ちたのか。


真実はどうだったのか。


森内先生に送られた告発文は、なぜ先生に届かなかったのか。


さらに告発文について知っているらしい女生徒が交通事故で死亡してしまいます。


津崎校長と森内先生は責任を取って辞職することになり、生徒達も傷つきました。


 


告発文を送られたひとりである藤野涼子は3年生になり夏休みの課外授業として、元の2年A組のクラスメイトたちに告発文で首謀者とされている大出俊次の裁判をすることを提案します。


 


藤野涼子は検事役。


死んだ柏木卓也と同じ塾でしたが別の中学に通う神崎和彦が弁護役になり、遺体の発見者の野田健一が弁護士事務官役になりました。


藤野検事にも事務官役が二人つき、検事役と弁護役がそれぞれまた協力して関係者に話を聞き真相を調べてゆきます。


 


判事は学年トップの井上康夫。陪審役は12人。


法廷の秩序を保つために、空手の有段者である山崎晋吾が廷吏にきまりました。ヤマシンはまた関係する生徒達の安全を確認するために、自主的に毎日生徒達の家を巡回します。


 


生徒達それぞれにドラマがあり家庭の事情があり、学校での生活が詳しく語られます。


 


自分はどんな中学生だったか思い出すと、大人でも子供でもない不安で不安定な時期をよく乗り越えられたと思います。知人に十代に戻りたいと言う人がいますが、私はもう二度と戻りたいとは思いませんね。


 


さて主に検事役の藤野涼子、弁護人の神埼と野田、被告の大出、そして証人となった生徒達は、裁判とその前の調査で否応なく自分と向き合い、向き合うことで大人になっていきます。


 


裁判を始めるとき、母親に学校に出向いて説得してもらい、刑事の父に相談していた藤野涼子は、裁判が終って結審を待つ間、「うちの両親もまだ甘い」とつぶやきます。


 


死んだ柏木卓也も生きていれば自分を見つめなおし、違う生き方ができていたのかも。その答えはもう永久に分かりません。 


 


1冊だけでも分厚い本の3部作です。


読み始めると途中でやめられないので、一冊につき丸一日寝食を忘れて読みふけりました。


風邪で寝込んだ日は仕事を休み、おおっぴらに一日読めるのでしめしめという感じでした。


 


最後に野口健一が教師になって城東第三中学に戻ってきたところで物語が終わりますが、それ以外の生徒達はどんな大人になったのか。


藤野涼子は何をしているのか。神崎和彦は本物の弁護士になったのか。空手家の山崎晋吾は?被告人だった大出俊次は?


長い物語ですが、まだ読み足りない思いです。


 


宮部みゆきさまはやっぱりすごい。


 


 


ソロモンの偽証 第1部 事件


ソロモンの偽証 第2部 決意


ソロモンの偽証 第3部 法廷 


            宮部みゆき作 新潮社


 


 


 


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by sacchyant | 2012-11-17 22:10 | 宮部みゆきさまの本 | Comments(4)

小暮写眞館 宮部みゆき作

 主人公の花菱英一(はなびしえいいち)は高校生で、友人達やなぜか家族からも花ちゃんと呼ばれています。家族はサラリーマンの父の秀夫とパート勤めの母・京子、8歳年下の小学生のピカちゃんと呼ばれている弟・光。


 そして4歳で病死した妹の風子(ふうこ)


 花ちゃんの妹、ピカちゃんの姉の風子の気配が、この家族の中にただよっています。


 


 父の秀夫は、寂れた商店街の中にある古い店舗付き家を買いました。物語はここから始まります。


 秀夫はこの家を壊して新しい住宅を建てるのではなく、写真館だった店舗もそのままにリフォームし、「小暮写眞館」という看板までつけたまま住み始めます。


 


 花ちゃんは、ちょっと変わった両親に「なんだかなれない」感じを持っています。親友の店子力(たなこつとむ。あだなはテンコ)のほうが、両親と気があい弟のピカちゃんのことをよく分かっている、と思っています。


 かといって、花菱家が仲が悪いというわけではなく、むしろ良い家族です。


 


 あるとき小暮写眞館で写された写真が持ち込まれ、花ちゃんは引っ越してきたばかりのご近所を回って話を聞き調査を始めます。写真にはご近所のある家の集まりが写されていましたが、そこにはありえない写りかたをした顔も写っていたのです。


 それは心霊写真だったのでした。


 


 そして花菱家が住み始めた店舗付き住宅は、店舗だけでなく小暮写眞館の主だった小暮泰治朗氏の幽霊も付いていたのでした。


 


 生霊の心霊写真や幽霊が出てくるからといって怖い話ではなく、心霊写真の原因は悲しい話であったり、幽霊の小暮氏は新しい住人を見守っているような感じです。


 


 主人公が高校生だからか、みゆきさまの文体ってこんなだったっけと思うほど明るく軽く、ちょっと重たい話もある物語が語られます。


 後書きも入れると714ページもの枕にもなりそうな本ですが、面白くて寝食を忘れて読みふけってしまいました。


 


 


小暮写眞館 宮部みゆき作・講談社


 


 


 


 ところで電子書籍というものをまだ持っていないのですが、あれはページをぱらぱらめくって、ここだけもう一度読み返して楽しみたい、というときには不便な気がしますね。


 どーなんでしょ。


 


 


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by sacchyant | 2010-07-12 23:24 | 宮部みゆきさまの本 | Comments(0)

春が来た♪ コブシⅢ

うちの庭のコブシ。


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 21日撮影です。


 コブシももう終わりかなぁ。


 


 風邪を引いてこもっていたので、わからないのですけど。


 熱はそれほどないですが、胃に来て……、


 おかゆが美味しいです。


 


 寝ている間に、図書館で借りていた宮部みゆきさま作の英雄の書を読みました。


 返す期限の間に読めないかもと思っていたので、全部読めてそれだけは良かった^_^;


 中学校で同級生を殺傷し行方不明になった兄を探して、小学生の妹が冒険する話です。


 本が意思を持ってしゃべったり、物語の登場人物が現実の人として登場したり、面白い話でした。


 


 


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by sacchyant | 2009-03-26 20:36 | 宮部みゆきさまの本 | Comments(0)

おそろし 三島屋変調百物語事始 宮部みゆき作

 川崎の旅籠の娘のおちかは、兄弟同然に育った松太郎に許婚を殺められたために親元にいられなくなり、江戸で袋物屋の三島屋をいとなむ叔父の家に女中奉公をすることにしました。


 


 あるとき叔父夫婦が留守のときに訪れた藤兵衛の話相手をするうち、庭に咲いた曼珠沙華を藤兵衛が異常に恐れたことから、花にまつわる殺人とその顛末を聞くことになりました。


 これをきっかけに叔父は、不思議な話を語る客をさがして一人づつ招いておちかがそれを聞くという趣向を思いつきます。それは川崎で起こった事件を忘れることができないでいるおちかのためでした。


 


 おたかが持ってきた人を飲み込む屋敷の話、お福の道ならぬ恋に落ちた姉弟の話、おちか自身の身に起こった話。


 人を飲み込む屋敷にもまた成仏できない魂があり、それが人を飲み込みそのエネルギーで美しい屋敷を維持していたのです。そこにおちかが呼ばれていくと、この世とあの世の狭間でさまよっているおたかがおり、さらに全ての物語のもうこの世にはいない登場人物が集まってきます。


 


 宮部みゆきさまの本は、読み出すと途中でやめられなくなってしまうので休日に読んでいたのですが、家事を片付けながら合間に読んでいたら深夜になってしまい途中で怖くなりやめてしまいました。続きはまた休日の今日を待って昼間読みました。


  


 


おそろし 三島屋変調百物語事始 宮部みゆき作・角川書店


 


 


 


 


 


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by sacchyant | 2008-09-28 14:41 | 宮部みゆきさまの本 | Comments(0)

楽園 宮部みゆき作

 「模倣犯」で探偵役だったフリーライターの前橋滋子が、再び登場します。

 連続殺人事件から9年。犯人を追い詰めて自白させた前橋滋子は、まだ悲惨な事件を引きずっていました。

 そこへ小学生だった一人息子が描き遺した奇妙な絵をもって、萩谷敏子が奇妙な依頼をしに来ます。



 非行を思い余った両親が中学生の娘を殺害し、遺体を蝙蝠の風見鶏がある家の床下に埋めたという事件があり、時効後に起きた火事がきっかけで自白したのですが、萩谷敏子の息子の等は発覚前に風見蝙蝠がある家で人が死んでいる絵を描いていたのです。

 しかも等は事件の発覚前に交通事故で死んでいました。



 等は事件が発覚する前に、なぜ風見蝙蝠の家の下で人が死んでいるのを知ったのか。

 等は人の心を読むサイコメトラーだったのか。

 等は誰の心を読んだのか。娘を殺した両親以外に事件を知っていたのは誰か。



 前畑滋子は、萩谷敏子の「喪の仕事」を手伝うために、謎を探る仕事を引き受けます。



 産経新聞に掲載されたので、連載中に読まれた方も多いと思います。

 私は宮部みゆきさまのファンですので、連載中はまず小説から新聞を読んでいました。

 できれば永遠に連載が続いて欲しかったのですが、やはり終わるときは来て、一応解決の形で終わりました。でもちょっと物足りないというか、唐突に終わった感じがしていました。



 単行本になるのを待って再読してみると、60ページほど書き足されているようです。それで物足りない感じがしていたのが納得でき、しかもちょとした驚きが用意されていました。





楽園 宮部みゆき作・文藝春秋




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by sacchyant | 2007-09-30 15:12 | 宮部みゆきさまの本 | Comments(0)

孤宿の人 宮部みゆき作 ―人の心に鬼は住む?―

 SACHIが選んだ2006年の本・3冊。その2冊目です(なんや、ご大層やな)





孤宿の人 宮部みゆき作・新人物往来社




 舞台は江戸時代の讃岐の国・丸海(まるみ)藩。作者自身が、江戸末期に丸亀藩に流された幕臣・鳥居耀蔵のことがベースになっているけれどまったく架空の話である 、とあとがきに書いています。

 丸海藩の主な産業は紅貝染となっているので、となりの阿波藩の藍染も参考になっているのかと思いますが、金刀比羅さんがあるという以外、気候風土なども実際の讃岐とは違います。



 話は、望まれずに生まれてきて阿呆の「ほう」と名付けられた九つの女の子が、江戸の生家から金刀比羅参りに来させられ、のどかな丸海藩にたどり着き、付き添いの女中に置き去りにされたところから始まります。そこへ幕府の要人だった加賀殿が、妻子と家臣を惨殺した罪で丸海へ流されてきます。加賀殿は「鬼」と呼ばれ、来る前から丸海の武士町人の間でうわさになり、そのためにさまざまな事件が起こります。


 ほうは、その加賀殿を幽閉する「涸滝(かれたき)」に女中奉公をすることになります。加賀殿は本当に鬼であったのか。丸海で起きたさまざまな事件は、鬼は加賀殿だけではなく、それぞれの人の心の中に鬼が住んでいて、加賀殿が来ることによって目覚めたといえるかもわかりません。


 物語の初めに若い娘が恋敵を毒殺する話が出てきますが、いくら幕府に咎められてお家断絶なんてことになるかもわからないからといって、殺人をなかったことにして犯人を野放しにするということはありえない。その点が引っかかりましたが、それ以外は面白く読めました。






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香川県琴平町

金刀比羅宮の本宮

(初詣は地元の氏神様へ。金刀比羅参りは初詣のほとぼりが冷めてから行こうかな)




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by sacchyant | 2007-01-04 18:21 | 宮部みゆきさまの本 | Comments(0)