出不精日記

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カテゴリ:村上春樹さまの本( 3 )

走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹作

 これは自らマラソンランナーであると言い、年に1度はフルマラソンを走る村上春樹さまが、走ることについて語った本です。



 春樹さまが走るようになったのは「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞し、ジャズ喫茶を経営しながら「1973年のピンボール」を書いた後、「しかしもっと柄の大きな、しっかりした内容の小説を書きたいという気持ち」になり、作家専業になってからの体力維持のためなのだそうです。

 そして小説家にとって最も重要な資質は、もちろん1番目は才能ですが、2番目は1日に3・4時間は机の前に座って小説を書く集中力で、さらに3番目は日々の集中が続く持続力だと語っています。



 集中力と持続力は才能とは違って、トレーニングによって後天的に獲得し向上させることができる。そのためのフルマラソンであり、最近ではトライアスロンもされているようです。



 わたしなど小説家というと毎晩銀座で飲み歩き、締め切りに遅れて編集者が催促に来たら窓から逃げる、というイメージがありましたが、夜9時には就寝するという春樹さまの生活はまことに健康的です。



 春樹さまの小説を読むと「ようわからんけど天才と言うんはこの人のことや」と思いますが、当然のことながら何の苦労もなく、あふれる才能から小説が生み出されているわけではないようです。



 「小説を書こうと思い立った日時はピンポイントで特定できる。1978年の4月1日の午後1時半前後だ」

 春樹さまが神宮球場でヤクルト・スワローズの開幕試合を見ている時だったそうですが、作家が小説を書こうとする動機・衝動というのはどういうものなのでしょうか。

 もしかするとそれは誰にでも多少あるのかもしれませんが、無から有を生み出す地道で孤独な作業は、誰にでもできるものではないのかもしれません。







走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹作・文藝春秋




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by sacchyant | 2008-02-08 00:04 | 村上春樹さまの本 | Comments(0)

村上かるた うさぎおいしーフランス人 村上春樹作

 本の題にあるとおり「あ~わ」までの村上春樹さま作のカルタの本です。実にしょうもないカルタに駄洒落満載の短いお話がついて、しかも二通りあります。

 春樹さまが前書きでも書いているように、この方は小説を書く合間にこういう「脳減る賞」ものの話を書いて精神のバランスをとっているのでしょう。



「アリの世界は何でもありだ」とか「無形文化財は透明人間」とか、普通のオジサンが言えば寒がられるだけでしょうが、私は好きです~



 そのほかには「死んでもシンドバッド」「長いお別れ、終わらないあいさつ」とか「ニラレバの世界にタラレバはない」「はと麦畑でつかまるのはクワガタくらい」



 動物編では「堕落したラクダは気楽だ」「とんびにたかられて、かえるはたまらない」とか「ほんとに、豹柄でいいんですね」「よこしまなシマウマとは珍しいですね」

 きりがありません。全部書いてしまいそうなのでこの辺で止めておきます。



 カルタに絵はつき物ですが、安西水丸さんの絵も面白いです。

 とくに「やんちゃな祖母は、おさげにしている」のハイジおばあさんが、私の身内にそっくりで(もしかして性格も)うちわ受けしてしまいました。



村上かるた うさぎおいしーフランス人 村上春樹作・安西水丸絵 文藝春秋社

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by sacchyant | 2007-05-18 22:40 | 村上春樹さまの本 | Comments(0)

辺境・近境 村上春樹作 ―讃岐は辺境?近境?

 不条理小説というのでしょうか。私はそのての小説が苦手です。だから村上春樹さまの本を読むようになったのは、5年くらい前からです。

 でも苦手だと思いつつも、春樹さまの小説を読むと、

「天才ってこの人のことをいうんや。わけわからん小説やけど。でも次にノーベル文学賞を受賞する日本人は、きっとこの人や」

と思います。

 そんなことは皆さんとっくの昔にご承知のことですね。

(そういうことは、もっと早よう言わないかんな)



 わけわからんけど興味深い小説とは反対に、春樹さまの書くエッセイは面白いのが多いです。微苦笑が浮かぶというか、思わずクスリと笑ってしまいます。

 京都生まれで阪神間で育ったと言う春樹さまの関西人のDNAのなせるワザなのか、あるいは小説を書くという神経を使う仕事の合間に、エッセイで何らかのバランスをとっているのか。





 またしても讃岐うどんの話題で恐縮ですが、春樹さまが讃岐うどんについて書いたエッセイがあります。

 

辺境・近境 村上春樹作 新潮社 

讃岐・超ディープうどん紀行 「ハイファッション 1991年3月号初出」


 わたしは香川県民なので、日常的にうどんを好んで食べているのですが、やはり県民のほとんどが行きつけのうどん店を数軒持ち、近くに新しい店ができれば食べに行き、つねにおいしいうどん店の情報交換をおこたらない、というのはやはり香川だけなんでしょうか。



  さて春樹さまがうどん紀行をされたうどん店には、客が自分で裏の畑からねぎを取って来て、自分できざんでうどんに入れると言う伝説の中村もでてきて、絶賛しています。



 私は中村のねぎの伝説はこの本から生まれたのかと思って、検証しようと麺通団の「恐るべきさぬきうどん 麺地創造の巻」を読んでみましたが、この本にも「客が自分でねぎを畑から……」と書いてありました。

(ええ、思いつきやと思たけどな)

 私はまだ未踏ですが、去年中村に行った友人によると、ねぎはちゃんと刻んでテーブルの上にあったそうです。



 それにしても、香川県民はうどんに関しては厳しい基準を持っているので、日清製粉は香川県向けに特別な配合をした小麦を出荷しているというのは、この本ではじめて知りました。

 香川県民(讃岐人)としてのアイデンティティを確認させてくれたエッセイでした。





参考文献

恐るべきさぬきうどん 麺地創造の巻 麺通団著 新潮文庫






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白梅がもう咲いています。

写真の中央やや左下に見える白いものはお月さんです。


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by sacchyant | 2007-01-31 22:10 | 村上春樹さまの本 | Comments(2)