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出不精日記

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次郎と正子 娘が語る素顔の白洲家 牧山桂子著

 著者の牧山桂子さんは、白洲次郎・正子夫妻の3人目の子供として生まれました。



 物心がついてから「何かが変だ」と思い、それは大人になるにしたがって「自分が、社会のほかの人々と、何かにつけ、習慣や物事に対する処し方が違う」と漠然と分かってきたということです。

 さらに自分は、たまたまテレビで見た育児放棄された河馬の子、であり人工孵化で育って卵を温めない合鴨なのだと。



 たしか「白洲正子自伝」でも、子供は生んだだけで、正子さん自身が子供のころから面倒を見てもらっていたお手伝いさんのタチさんが、世話をしていたと書いてありました。

 並外れた両親の下に生まれるというのも大変な人生だなぁとおもいますが、普通はできないような経験もしてこられたのではないかという気もします。



 しかし意外だったのは、子供のころ別荘などに行くと父の次郎氏が、食事を作ったり洗濯までしていたということです。しかも洗濯機に入れてスイッチをポンではなく、足で踏んで洗ったのです。

 案外まめだったんですね。

 それとも妻があまりにも何もしないので、代わりに子供にしてやりたいと思ったのでしょうか。この本を読むと次郎氏のほうが娘に甘そうです。



 反対に正子さんは、負けん気の強さが娘にも向かい、学校の成績も自分のほうがよかったし、スポーツも自分のほうができた、と何かにつけ張り合う気持ちが強かったと。夫の次郎氏に対しても、言い負かしたりすると勝ち誇ったような顔をしたそうです。

(たまりませんなぁ)

 こういう負けん気の強さが、青山次郎や小林秀雄らと付き合い、骨董を見る目や歴史文化の修養を深めたくさんの著書を書いたのでしょうけど、親には持ちたくない気がします。



 されど子供は親を選べず、牧山さんは諦めとともに、正子さんの晩年は親子の立場が逆転して、自分が親で娘を見るように母・正子さんを見て愛していたようです。



次郎と正子 娘が語る素顔の白洲家 牧山桂子著・新潮社





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庭の姫小百合(たぶん)です。

 

by sacchyant | 2007-06-15 19:36 | 本のかんそーぶん